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その他コラム

キッチン王国 霜の魔女と氷の迷宮

公開日:2025年07月21日
更新日:2025年07月21日
その他コラム

【おはなし】

キッチン王国の冷凍庫の奥。そこには、誰も近づかない「霜の谷」があった。
その中心には、伝説の「氷の迷宮」と呼ばれる場所があり、長い間、誰も足を踏み入れたことがない。
なぜなら、そこには恐ろしい力を持つといわれる「霜の魔女」が住んでいるからだ。

ある日、メルは冷蔵室の奥で、凍った瓶の中から一枚の古びた巻物を見つけた。
それは、「氷の迷宮」に隠された“かつての魔法の源”について書かれていた。

「この力があれば、キッチン王国のエネルギー源を守れるかもしれない!」
メルは目を輝かせ、そっと巻物をしまい込んだ。

翌朝、彼は仲間たちにこう宣言する。
「僕、行ってくるよ。霜の谷へ」

「無理だよ!霜の魔女に凍らされるって聞いたよ!」と、ミントの葉のミンティが叫ぶ。
「きっと大丈夫さ。僕には、このスプーンの杖があるから」
そう言って、メルはいつも携えている古い銀のスプーンを握りしめた。

霜の谷へと進むにつれて、空気は凍るように冷たくなり、足元はつるつると滑る氷に変わっていった。
息を吐くたびに白くなり、メルの体毛には霜が付きはじめた。

ようやく氷の迷宮の入り口にたどり着いたとき、氷の柱が突然動き出し、メルを包囲した。
「ここを通るには、知恵と勇気が必要だよ」
どこからともなく声が響いた。

すると、迷宮の入口に一枚の氷の札が現れた。そこにはこう書かれていた。

「動かぬものを動かすには、何を使う?」

メルはしばらく考えた。
「……心、かな」
そうつぶやいたとき、氷の札がふわりと消え、迷宮の扉が静かに開いた。

迷宮の中は複雑で、光をほとんど通さない氷の壁に囲まれていた。
冷気の魔物たちがあちこちから飛び出し、メルの行く手を阻む。
しかしメルは、スプーンの杖からほのかな温もりの光を放ち、少しずつ進んでいった。

そして——

迷宮の最奥に、玉座に座る“霜の魔女”が現れた。

「よくぞここまで来たね、小さな洗剤の子よ。だが、ここから先は凍りの試練が待っている」

「魔女さん、あなたの持つ力は、キッチン王国の未来に必要なんだ。ぼくに分けてくれない?」

霜の魔女はしばし黙ってメルを見つめた。
その目には、かつて希望に燃えた日々の光が宿っていた。

「……昔、私も誰かのために力を使いたかった。でも裏切られ、凍てつくような悲しみに閉じこもってしまったの」

「じゃあ、もう一度、信じてみてよ」
メルは一歩、前に出た。

その瞬間、魔女の体から氷が溶け出し、迷宮全体に優しい光が広がった。

「君には、不思議な“あたたかさ”があるのね」
魔女はほほえみ、小さな氷の結晶をメルの手に渡した。
それは、エネルギー源「フロストクリスタル」。王国を長く守る光の力だ。

こうしてメルは、氷の迷宮から光と希望を持ち帰った。
キッチン王国の住民たちは拍手で迎え、魔女も迷宮を離れ、王国の一員として新たな人生を歩み始めた。

そして、メルの冒険は王国中で語り継がれることになる。

 

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